木村染匠のものづくり

京職人の手によって、白生地から華やかに色づいていく様子をご紹介いたします。

手描き京友禅のキモノができあがるまでの主な工程

木村染匠が製作する手描き京友禅のキモノは、15以上の工程を経てつくられています。
ここでは、その一部をご紹介いたします。

染匠としての仕事

染匠は京友禅界において、呉服メーカーなどのお得意先からキモノづくり全般を請け負う仕事です。
ご発注いただいたキモノのデザインや色彩を考案すると共に、製作の工程全般を統括して、意のままにキモノを作り上げ、
完成した製品を納めさせていただいております。 例えば1枚の手描き京友禅のキモノを完成させるには、
多くの製作工程が必要で、反物は複数の工房を渡りながら、専門の技術を持った職人の分業で作られています。
そこで染匠は、まず最初にお得意先との打合せで創作意図を汲み取り、それを染匠独自の感性・意匠力・経験をもってデザイン化し、
そして実際に反物を各職人さんの特性を活かしながら染色工程を進め、キモノが完成するまでのディレクションを行っています。
このように、友禅染に携わる職人さん達と共に、キモノを作り上げるのが染匠の仕事です。

これからのものづくり

木村染匠のこれからのものづくりは、従来の流通のお得意先を大切にしつつ、一枚一枚手づくりすることにこだわる製品だからこそ、
着用されるお客様にとって、特別な価値の生まれるものづくりをご提供していきたいと考えています。
その一つが「お誂え・オーダーメイド」のキモノです。お客様の自由でお好きな発想を、私たちがダイレクトに応対させていただくことで、
今までになかった「唯一無二」の京友禅を染め上げることができます。

また、本来のキモノづくりだけではなく、京友禅のデザインや技法を活かして新たなジャンルにも挑戦し、
木村染匠がこれから先も京職人による伝統的なものづくりを継承していけるように取り組んでいます。

下絵

図案や参考資料に基づいて下絵師が青花液で直接模様を描いていきます。
はじめは薄い青花液でアウトラインを描き、次第に濃くして正確な模様に近づけます。
図案などのイメージから下絵師の表現力をもって、図柄模様がより一層繊細に表現されます。

糸目糊置

渋紙でできた小筒に穴の空いた先金を取り付けて、下絵の青花線をもとに、正確に糸目糊を置いていきます。
下絵の青花は後に消えてしまいますが、この糸目糊が染め上がった時に線となり模様となり表れます。
この糸目糊置には、挿し友禅する際に染料が他ににじまないように防染する働きもあります。

伏糊置

模様を糸目糊置でかこんだ後、大小の筒や幅の広い口の筒を使って、挿し友禅をする模様の部分に糊をムラなく置いていき、その上に挽粉をふりかけて表面を保護します。
この伏糊は地染をする際に、模様の部分が染料で染まらないようにする為の防染です。

地染め

まず最初に使用する色の染料を調合し、別の布切れで試験染をした後、色合わせした染料を刷毛でムラのでないよう均一に引染めたり、数色の染料を使って暈かし染などを行います。濃い色は2~3回色を重ねて染め上げます。

挿し友禅

配色通り正確な色合わせで染料を調合し、筆や刷毛を駆使して糸目防染された柄の中に染料を挿していきます。最初に胡粉(白色顔料)を挿し、続いて淡い色から濃い色へと進めていきます。友禅工程は高度な染色技術と共に色彩感覚も必要とし、その感性や創作性によって出来栄えが左右されます。

蒸し・水元

蒸し・水元の行程は、地染めの後と挿し友禅の後の2回行います。
生地を蒸し箱に入れ、高温の蒸気で何度も蒸しを繰り返すことで、染料を生地にしっかりと定着させると共に、完全な染料の発色を促します。
そして、蒸し上がった生地を良質の水をたっぷりと使って余分な染料や不純物をきれいに洗い流します。

金彩

金箔・銀箔・金粉などを使い、豪華で格調高い雰囲気を演出する工程です。表現技法として蒔絵のように砂子や切箔、金型(模様の型紙)を用いた摺箔、筒を用いた箔糸目・金くくりなどの技法を組み合わせて、品格を損なわぬよう調和のとれた装飾で京友禅ならではの美しさを表現します。

刺繍

繍は生地を繍台に張り、金糸や銀糸を用いて駒使い繍や、友禅色と同色系の絹糸の平糸を用いて菅・相良・平繍などの京繍であしらいを施します。この刺繍によって友禅模様に立体的なボリューム感を表現し、豪華でありながら気品と華やかさを演出する装飾です。

意匠考案

京友禅は古典文様を用いるだけではなく、美術工芸品から日常目にする風景までを参考に、あらゆるものをモチーフとしてデザインを考案しています。
そうして思い描いた図柄模様や表現方法を具体的に図案化するなどして、製作を手がける職人さんに意匠の伝達を行う際の資料を作成します。

配色

染匠はキモノのメインとも言える地色や図柄の友禅色を配色する事も重要な仕事の一つです。無数の色見本裂の中から創作するキモノの意匠に見合った色を、微妙な色調の違いにまでこだわり、一色一色吟味しながら選定していきます。多彩な色の組み合わせをまとめ上げる配色の工程には、豊かな経験と繊細な色彩感覚が求められます。

ディレクション

キモノ製作の構想が決まると、その製作に携わる工房や職人さん達を人選して、思い通りに仕上がるよう指揮を執って行程を進めます。
各工程には同じ専門の技術を持った職人さんが沢山おりますが、染匠は長年の仕事のお付き合いで個々の特色や個性等を熟知しており、その職人さんの人選と意匠の疎通がキモノの出来栄えを大きく作用します。